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一緒に歩こうよ。~特別養子縁組しました。~

一緒に歩こうよ。~特別養子縁組しました。~

ママの2日目

まずはデジカメを買いに行こう。

到着した翌日、早朝に目が覚めた。腕時計をみると朝の4時。
雨はまだ降り続いていた。
病院の隣に幼稚園があってそこで飼っているらしい鶏の鳴き声で目が覚めた
のだった。霧に煙った緑の木々がみえる。
都会の我が家とは違って山も近いみたい。
これといって何もやることはないのだけど充電器を忘れた携帯
だけが気がかりで朝の6時になってから
ご近所探索とばかりに傘を借りて出かけた。5分ほどでコンビニを
見つけて電池式の充電器を購入。
やっと一息ついて病院に戻った。

7時半になるころ朝食がワゴンで運ばれてきた。
病院とは思えないほど豪華なもの。
それだけでもびっくりしていたら
しばらくして昨日応対してくれた看護婦さんと
看護師長さんが書類をかかえてやってきた。
これからの日程。
自分でやらなくてはいけないこと。
病室があき次第移れること、
その他いろいろ。
そして最後に
「赤ちゃんのお名前考えて見えましたか?」
「はい。ぱんだ家ラオウと」
メモ紙に苗字名前そして読みがなを書いて手渡した。
「ぱんだ家ラオウちゃん。
かわいい名前ですねぇ。この名前で出生届けを出しますね」

それからラオウの容態についても告げられた。
出生時の呼吸の状態が今一つなので今日一日は保育器に入ること。
なのでこれから母としてやらなくっちゃいけないことは
予定表の一日分ずれること。
つまり今日は病室の保育器に顔を見に行くだけしか
やることがないってことだった。
看護婦さんが帰ってからぱんだに電話した。
そのときについ口に出た言葉は
「デジカメ新しいの買ってもいいかな?」
だった。
実は半年くらい前にその頃一番良かったデジカメを購入していた。
それを持ってくる予定だったのだけど
すっかり舞い上がって忘れてしまったので・・・。
ぱんだは即答した。
「ラオウの毎日を記録しなくっちゃいけないんだから!
すぐに買いに行きなさい」
なんだか節約とは程遠いことしてるなぁと思いつつ
赤ちゃんの顔は毎日違うんだからちゃんとデジカメで撮っておかないと
ダメだよと友人にも言われていたから。
この先の家庭裁判所に出す書類にもいるだろうし・・・

その日も大雨警報が出るくらいの雨だった。
電気屋さんは近所にはないってことなので10時になるのを待って
タクシーで街中の大きな電気屋さんに出かけた。
電気屋さんで値切るだけ値切って新しく軽いものを購入。
あわててタクシーで戻った。

息子の写真を撮って
下手ながらも携帯でも撮ってぱんだに送った。
ぱんだはすごく喜んでいた。

ただ・・一つ間違えたことは
ちょうど梅雨時だったけど雨が降らなかったプリンの住む地域と
違って病院のあるところは大雨が続いていた。
半袖しか持ってこなかったプリン。
寒くて仕方なかったので近所のディスカウントショップで
あわてて長袖のシャツを買うはめになって
しまったのだった。
天気予報をちゃんと見ていたらよかったのになぁと思った。

午後からは5日間ほどお世話になる病室に移った。
ホテルのような素敵な部屋でちゃんとお風呂も付いていた。
そして毎回の豪華な食事。3時になるとおやつまでついてきて
そして何よりも感激したのは
ナースセンターに行くとどの看護婦さんも顔を覚えていてくれて
「いまは起きてますよ~」
「ごきげんしていますよ。おかあさん」と
プリンをお母さんと認めていてくれいるところだった。
自分を母として認めてくれている。
すごくうれしかった。
そしてこの病院のどこかにひっそりと入院されているはずの
実母さんに感謝しきりだった。
私達夫婦に託すために一生懸命になってラオウを
産んでくれたんだなぁ。
一般の病室の横を通るたびに心の中で
ありがとうございますとつぶやいていた。

病室に移ってからぱんだに帰宅の予定を連絡。
退院の時はぱんだに迎えに来てもらって一緒に帰宅するのが
しきたりなのだ。
多めの荷物はここから宅配で送ればいいしってことで・・
次の日曜日に帰宅が決まったので土曜日に
こっちに来てもらうことになった。
ぱんだはぱんだの両親に連絡してくれて
二人ともすごく喜んでいたと言っていた。
義母がまだ入院中だけど週末に退院する日程を決めることも
言っていた。なんだか嬉しいことがいっぱいだなぁ。
ラオウは幸福の使者かもしれないなぁなんて
夫婦で笑っていた。
次の日からは
母子同室。育児指導が始まった。
初めての育児。プリンはやるしかないんだと心を決めた。


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